人はひとりでは生きていくことはできない。しかし文明の進歩は人を孤立させ、結びつきを希薄にしていくかのようにみえることがある。 かつては日暮れまで群れて遊んでいた子供達が、町から消えて久しく、今子供達は無言で電子ゲームに興じている。大家族も失われて、囲炉裏端で古老の話をきくこともなくなった。子供達にとって祖父母、曾祖父母は他人同様であり、家族の歴史を共有することもなくなった。時代は合理的、科学的、豊かであることが良しとされ、まわり道や無駄なこと、貧しいことは価値がないと思われる時代になった。
しかし私達は知っている。本当に大切なものは何なのかを。押しくら饅頭や缶蹴りの楽しさ、なんどもきかされた家族の昔話、初めて読んだ小説の感激、友情との出会い、愛情、青臭い議論、それらのごった煮が自分の人生を形作っていることを。
書籍が心の扉をたたく時、人はその心を開き作家の言葉を迎え入れる。彼の真実の言霊に共鳴し、自分の思いを膨らませる。そんな書籍との出会いが人生にどんなに豊かで温かな時をもたらすかを人は決して忘れてはいない。
私達、智書房はそんな書籍を出版することを企業理念としていこうと思っている。 |
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